俺はチョロ過ぎる

  俺はチョロい。俺は直ぐに女の子を好きになる。この時点で相当チョロいのだけれども、俺のチョロさの真骨頂はもっと違うところにある気がする。

 

  俺は自身の色恋の領域のガバガバさにはいい加減うんざりしている。だから俺は女の子を好きなったらまず粗探しをやる。彼女の欠点を探し必死に彼女を憎み彼女への迷妄をどっかにやろうする。そもそもの動機が彼女を憎もうとすることなので案外簡単に彼女のことを親の仇の如く憎むことができる。その時の俺は好きなはずの彼女の一挙手一投足に心の中で文句を付け、死にものぐるいで彼女を嫌いであろうとする。他の男と親密に話そうものなら心の中の文句は罵詈雑言にまで昇華して彼女を徹底的に非難する。俺は彼女が嫌いなのだ。

 

  彼女に俺の語彙力の範囲内で出来る限りの罵詈雑言を浴びせた日の午後、急に彼女からLINE でメッセージが来たりする。その内容は他愛のないものであるわけなのだけれども、それは俺を改心させるのには十分過ぎる力を持っていて再び俺を迷妄の沼に引きずり込む。つまるところ彼女が好きでたまらなくなる。彼女からのメッセージひとつひとつを一々熟読しては悶絶し自室の抱き枕を抱きしめ、ぶん殴る。一度は良識のある人間が発するとは到底思えない下劣な言葉を彼女に投げかけたにも関わらずその午後私は彼女に向けて良識のある人間が発するとは到底思えない甘美な言葉を胸に抱くのである。そのような意味で俺はチョロ過ぎる。

 

 あぁ駄目だ駄目だ。こんな風に無駄に理屈を捏ねて意中の女性と接するからいつも上手く行かないんだ。今の俺に必要なのはこういう理屈じゃなくてもっと情動的なものなのだと思う。今までこんな感じで生きてきたからそう簡単にはいかないだろうけど今の俺は変革を要しているのだと思う。もっと直接的で感情的な行動があってもいいじゃないか。俺が生きてきた20年間で俺の意中から消えざる負えなかった女供への追悼の意を込めて俺は今ここで理屈を捏ねるのはやめておこう。俺が理屈家であること自体は変わらないかもしれないけどせめて彼女に接するときくらいはより感情的に、理屈抜きで居られるくらいの根性はあるはずだ。今の俺は少しでも長く彼女が意の中に留まることを求めている。それを告げればいい話なのだ。

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