どうか私を迷妄終身刑に処して下さい

  大学に入ってからの1年半で恋愛という迷妄に囚われて出れなくなった人をたくさん見てきた。未だにそれは私を捕らえてくれない。迷妄の手錠が私の手足を軽く拘束することは多々ある。しかしそれらの手錠は脆すぎる。私の貧弱なボディでそいっと踏ん張るだけですぐに千切れてしまう。なんなら鍵が私の足元に散らばっている。散らばった鍵のどれを使ってもあの手錠は開いてしまうのだ。セキュリティが甘すぎるぞ。

 

  私は迷妄警察に頻繁に身柄を拘束される。つまりすぐ異性に好意を抱く。そのまま迷妄裁判所において終身刑の判決が下され迷妄刑務所から出れなくなってしまえば良いのだがうちの迷妄警察は手錠も先述の通りだし、なんなら留置所に連れて行くこともしない。嗚呼無能。また仮に迷妄裁判にかけられたとしても裁判長はアホヅラで「無罪無罪無罪」と連呼するだけの大戯け者である。近いうちに弾劾裁判にかける予定である。こんな按配で私はすぐに迷妄から抜け出してしまう。迷妄に駆られてもっと本能の為すがままに恋愛をしたいものである。

 

  一方迷妄終身刑に処された者はどうだろうか。大学生になって分かったことなのだけど大学生は迷妄に囚われ易い。至る所で迷妄終身刑の判決が下されている。誤審だろそれと思う場面も多々ある。迷妄に囚われた人間の恋愛への積極さは常軌を逸している。男女がお互いにその会話一つ一つでエロティックなものを暗に示し、いつしか二人の中では性的な関係性が自明なものとなる。こうしてごく自然にお付き合いが始まる。私みたいな迷妄に囚われることがない人間は女の人にエロティックなニュアンスを込めたメッセージを送ることが出来ない。それで性的な関係性を見出せないまま愛の告白を出来ずに終わる。迷妄に囚われていればこんなことにならなかった。人目も憚らず性の香りを漂わすああいう男女に名を連ねてみたい。どうか私を冤罪で迷妄終身刑に処して欲しい。

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