楽しくない氏、狡いことをする

  楽しくない氏は所属するゼミで書くゼミ論のテーマ選びに必死になっていた。今日がその締切日であったからだ。教授からはテーマには必ず仮説が必要と言われ仮説とは何かという無駄なことを考えながら時間だけが過ぎていった。

  楽しくない氏が趣味で書いているブログからも分かる通り、彼の興味は常に彼自分の思考か異性の下着姿あるいは全裸姿にあった。社会的問題に関する興味など一切持ち合わせていない。彼の趣向は絶望的に学問に向いていなかったのだ。

  何だかんだあって楽しくない氏はテーマを選ぶ。教授へのメッセージでそれにはどんな問いがあってどんな仮説が立てられるのかをお得意の屁理屈で力説した。そして今朝教授から返信が来た。教授からのレスは大いなる賞賛の言葉だった。ここ10年で最高のテーマと評された。楽しくない氏は学問に絶望的に向いていないはずなのになぜこんなことになってしまったのだろうか。彼のテーマはむしろ史上最低の意識に基づいて考えられたものなのだ。

  楽しくない氏はそのレスにさほど驚かなかった。彼は随分とメタ的な考えでテーマ選びの文章を書いていた。教授が好きそうな社会問題に教授が好きそうな仮説を立てていた。そして酷く学問への関心がありそうな熱意のある文章を教授へ送り付け。彼は教授に媚びへつらってテーマ選んでいたのだ。全く狡い人間である。彼の屁理屈は賢いはずの教授を騙せるほど狡猾さを極めたのだ。賢いふりをするのが上手な彼の能力は成長しない。数年後きっと痛い目を見ることだろう。企みに成功した楽しくない氏は自分の狡さのことと異性のスカートの中のことを考えながら今日一日を過ごす。

  

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