恋バナがしたいなぁ
思春期の男女は恋バナに花を咲かせる。恋自体が青春の花であり彼らがやっている行動は花の上に花を咲かせるという珍芸に他ならないと私は思う。タンポポは土壌で咲いているからこそ美しいわけでありチューリップの花弁を突き破って生えたタンポポなど狂気以外の何物でもない。しかしながらそんな狂気の花でさえ見ることが出来ないのは寂しいものだ。私も恋バナに参加したい。しかし私には大々的に発表できるような恋のタネがない。こんなことをボヤいていると恋愛ブルジョアジー達は口を揃えてこういう。
「恋バナがしたいならつくればいいじゃない」
もちろん皮肉である。皮肉には皮肉で返すまでである。
恋を捏造する試み
私は自分が恋バナが出来ない人間だと知ったときから恋愛を捏造し始めた。その計画の始まりとなるのが本サイト「楽観的青春」にて2019年5月8日に投稿された「彼氏の話」である。
この記事は私の架空の彼女が私について日記を書いているという体で書かれた文章であり彼氏の話はⅰ~ⅳまで続き、架空の彼女と別れるに至った。そして現在「元カレの話」として架空の彼女と別れた後の生活を書き始めている。
私の頭の中ではブログで文章化されている以上の詳細な恋の話が展開されており出会い、初デート、告白、初夜、喧嘩、別れ等諸々語ることが出来るのだ。架空の彼女の言葉に情動してしまうことがあり、さすがに自分でも引くことがある。なにはともあれ私は恋をしていないにも関わらず恋のタネを得ることが出来たのだ。私は実際に友達に架空の彼女との別れを架空という要素を隠して話したことがある。友達は私に同情して「それはつらいな」と言ってくれた。念願の恋バナが出来たのだ。
私の会話の花は花の上ではなく空気中に咲いている。皆さんにはチューリップを突き破るタンポポと宙に浮くタンポポどっちが魅力的かをよく考えていただきたい。