いとこが未熟で可愛い

  僕と僕の一番歳の近い従姉妹は一二歳離れている。僕は二十一歳だから彼女は九歳である。僕は彼女と偶にしか会わない。僕が一二歳の時に彼女は生まれて、それから会うたびに大きく成長した姿を見せてくれる。彼女は「○○お兄ちゃん」と兄でもない僕をお兄ちゃんと呼ぶ。屈託のないその口調を聴いてそれを愛しく思わずには居られなくなる。しかしそれと同時に僕を目の前にして人見知りなど全くしない従姉妹に嫉妬に近い羨望を覚えることがある。僕は彼女の子供らしい未熟さを可愛く思うわけだが、彼女はそれを恥ずかしいとは思わないのだろうか。僕は九歳の時には確実に自分の未熟さを大人たちに笑われるのが恥ずかしく感じていた。なんなら物心ついた時からそういう大人の目を気にしていた。

  僕が幼いとき両親の知り合いが集まる忘年会で当時流行っていたお笑い芸人の真似をしたことがある。周囲から見れば子供らしい馬鹿っぷりだったと思う。ちなみにそれでお小遣いを貰った。僕の両親はよくそのときのことを話してお前は昔はひょうきんだったなどと僕を笑う。しかしあのときと今はそう大差ない。僕はあのときお笑い芸人の真似を求められたからやった。周囲の未熟さを笑う大人たちの目が恥ずかしくて仕方なかった。本当あんなことしたくはなかった。従姉妹どうなのだろうか、あんな可愛い馬鹿をやって恥ずかしくはならないのだろうか。多分ならないのだろう。それが子供らしさというものだ。僕はそうやっていつも自分の未熟さを恥じながら生きてきた。だから生きづらい。

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