旅のお供を選ぶ

 明日から電車で旅行に行く。電車の旅に必要なものと言えば、小説である。長い電車移動の際の暇つぶしという側面ももちろんあるのだが、なにより物語を持ち運ぶということに意義があると思っている。私は旅を物語だと考えている。行って帰ってくるという最も原始的な物語だ。しかし旅の物語には時間や金銭の問題で成約が多い。大概たいそれた物語にはならない。そこで必要なものが小説である。旅物語に並行して別の物語を進行させることで本筋である旅物語に奥行きが出る。旅の情緒を促進させるものとして必要不可欠だ。

 私は今、平行物語を選ぶのに随分と苦戦している。それはあまりドロドロしていても困るし、かといってスッキリしすぎているのも問題だ。加減が大事なのである。またもう既に知っている物語では未知の旅物語のお供としては役不足だ。さらに旅に持っていくという性質上文庫本でなければならない。私は家にある数多の未読本の背表紙に書いてあるあらすじを読みながら情緒ある並行を予測する。「う~ん青春物語がいいよなぁ」とか唸りながら本を吟味する。しかし本筋に沿いすぎるのも本筋がチープに見える原因になる。結局は予期していないものが良いのだ。明日の朝無作為に手に取ったものが旅に相応しいものとする。

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