慰めた

 今朝起きて寝ぼけた頭と目ん玉に真っ先に飛び込んできたには涙を流す妹の姿であった。聞くところによるとテスト勉強の最中に寝てしまいそのまま朝を迎えたという。妹は指定校推薦による大学入学を目指している。ほんの少し先の将来を見据えて行動をしているのである。しかし僕は思う「泣くほどのことかね」と。そして慰める。結果的には寝るという怠惰を貫いてしまった愚かな妹をこれでもかと慰めた。しかし彼女のことを思うのであれば僕はいつも僕自身に向けているような、怠惰に対する痛烈な罵倒を浴びせるべきだったのかもしれない。だけどそれは彼女も彼女で自分に向けて汚い言葉を贈り続けているだろうから、やはり僕が優しくしたのは正解であったと信じたい。

 

追記:学校から帰ってきた妹は恐ろしい程ケロッとしていていた。予想以上にテストが上手くいったらしい。所詮怠惰の後悔とはその程度で忘れてしまうものなのだ。僕はそんな妹を見て怠惰を思いっきり咎めてやりたくなったが、テストが終わった解放感に浸る妹には何を言っても無駄なのであった。妹を慰めるのは終わりにして、自身の慰めに専念したいと思う。無愛想な長男を誰も慰めてはくれないので。

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