ある朝起きたとき僕はポケモンになっていた。身体は全くもって人間なのだけど、感覚的にポケモンであった。そしてトレーナーの指示でトリプルバトルに出ることになった。確かトリプルバトルは第7世代で廃止されたのではなかったっけ?そんな疑問を抱いていたがトレーナーは僕に有無を言わせずバトルへ出した。
ポケモンバトルが始まる。
「いけ!タノシクナイ!」
僕はモンスターボールから元気良く、それでいて傲慢過ぎない感じで飛び出た。だが様子がおかしい。トリプルバトルだというのに僕以外に味方のポケモンが居なかった。
「いけ!オンシャ!リョウシン!シリアイタチ!」
なんだか怖いポケモン達が相手の場に居た。
「オンシャは プレッシャーを はなっている!」
「リョウシンは プレッシャーを はなっている!」
相手の場に二匹も特性:プレッシャーが居る。なんだか緊張するなぁ。
▶たたかう どうぐ
ポケモン にげる
▶じこピーアール じこぶんせき
じこさいせい -------
僕は仕方なくオンシャに向けて自己PRをすることにした。
「タノシクナイの自己ピーアール!」
「こうかは ばつぐんだ!」
こうかはばつぐんだったが、相当特殊耐久に努力値を振っているらしく4分の1程しか削れなかった。
「オンシャの おだてる!」
「タノシクナイは こんらんした」
「タノシクナイの とくこうが あがった!」
なんだかとても良い気分だ。俺ならこのバトルに勝てる。そんな気がする。
「リョウシンの ちょうはつ!」
「タノシクナイは ちょうはつに のってしまった」
「シリアイタチの いばる!」
「タノシクナイは すでにこんらんしている」
「タノシクナイは こうげきがぐぐーんと あがった」
▶たたかう どうぐ
ポケモン にげる
▶じこピーアール じこぶんせき
じこさいせい -------
えーっとちょうはつされてもう変化技は打てないから自己ピーアールで押し通すしかないっしょ!
「オンシャは プレッシャーを はなっている!」
「リョウシンは プレッシャーを はなっている!」
「タノシクナイは こんらんしている」
「わけも わからず じぶんを こうげきした」
「オンシャの どくどく!」
「タノシクナイは もうどくを あびた」
精神がどんどんすり減っていく気がした。
「リョウシンの はかいこうせん!」
HPが赤ゲージまで減る。なんだかんだノーマル技が一番効くんだよなぁ
「シリアイタチの ふくろだたき!」
「3かい あたった」
▶たたかう どうぐ
ポケモン にげる
「オンシャは プレッシャーを はなっている!」
「リョウシンは プレッシャーを はなっている!」
「タノシクナイの わるあがき!」
「タノシクナイは たおれた」
「めのまえが まっくらに なった」
これが僕の初ポケモンバトルの記憶だ。それからしばらくトレーナーに顔向けが出来なかった。だけどいつまでもそっぽを向いているわけにはいかないので先日トレーナーの方に顔を向けた。というか初めて顔を見た。驚くべきことに彼は僕そっくりだった。部屋のドアを静かに開けて中を見ると彼はマスターベーションの最中らしかった。そして静かにドアを閉めた。真剣に思い悩んでいたのが馬鹿だったように感じられる。そんなことしている暇があったらお前がたたかうべきではないのか?どうせそっくりなのだから。