バイト先の先輩に勇気を出して飲みに誘ってみた。もちろん同性である。残念なことに同性でしかないのだ。流行りのジェンダーレスの可愛い男の子ではなくて、ゴリゴリの男先輩だ。でも女の子をお酒に誘うよりも遥かに緊張した。そして先輩からあまり笑顔もなく了承された。距離を見誤ったと思った。帰ってシャワーを浴びているとき、「何で誘ってしまったのだろう。」と後悔の念を反芻させた。
後日、その先輩と仲の良い他の先輩から話を聞いた。
「あいつ、楽しくないに誘われたことを自慢げに話してたよ笑」
実に不器用な先輩である。ツンデレかよ。男のツンデレには需要がない。そこにあったのは自分を式波アスカラングレイと勘違いした痛い先輩の姿であった。先輩のデレは功を奏すことはなく、私は今までもこれからもバイト中は女性先輩の尻を追いかける。一方で飲み会中は男先輩に耳を真剣に貸そうと思う。もちろん緊急事態宣言明けだが。