激安チェーン居酒屋で私は喫煙室に居た。サークルの3人と来たのだが生憎、喫煙者は私だけである。喫煙室には既に大学生2人が煙草を吸いながらお喋りをしていた。
「じゃあ、同学年ってことですか?」
「そうだね、まぁ留年してるから歳はいっこ上かな。」
……
「ねぇ。どんな音楽聴くの?」
少しの沈黙の後にこう言うのである。恐らく今日が初対面か、ちゃんと喋ったのは初めてみたいな間柄だろう。言い回しがかっこ良すぎる。「好きな音楽は?」とか「音楽好き?」とかではなく「どんな音楽聴くの?」だ。音楽が好きなことは当然として、お前の趣向を試してやろうという意図を感じる。
こんなことを私が考えていると、喫煙室のドアが開き隙間から女子がぴょこっと顔を出した。「会計だよ〜」やはり女連れであった。
モヤモヤしたので煙草を、フィルター間際まで吸う。そして自席へと戻る。冴えない同胞がいるところへ。ビールジョッキに手を掛けながら。席に勢いよく座る。ジョッキを軽く持ち上げて、ちょっと物寂しそうな表情を作って
「ねぇ、どんなAV観るの?」
AVが好きなことは当然として、お前の趣向を試してやろうという意図である。