賢明な若者は優先席に座る①

私は優先席を占領する 

 電車に乗っているとき席が殆ど埋まっていたら迷わず優先席に座るようにしている。20代前半の若者が優先席に踏ん反り返っているという構図を見たら「最近の若者はけしからん」とおじさんに言われるかも知れない。なぜわざわざ優先席に座るのかというと、優先者を選ぶ権利が欲しいからである。

 以前初老のスーツ姿のおじさんに席を譲る女子高生の姿を見たことがある。譲られたおじさんは還暦直前くらいの年齢だと推測できる。当然、現役意識はあるし事実現役である。もちろん「まだ俺はそんな歳じゃない」と言いたげな顔をしていた。よくある話である。面白いのはここからで数駅後にそのおじさんよりもおじいさん寄りのおじさんが乗り込んで来た。そしておじさんがおじさんに席を譲っていたのである。その時に分かったのである、優先席では若者が知らないところでおじさんが自分よりもおじいさんなおじさんを探して席を譲るという地獄のバトンレースが起きていることに。悲しいのはそのバトンは女子高生の好意によって始まっていることである。女子高生からすればおじさんもおじいさんも同じようなものである。どちらも相対的に老体なのだから。そんな好意が無下になってしまう状況を打破するために私は優先者選考の面接官として優先席に居座るようになったのだ。

 

おじさんには現役プライドがある

優先者選考で最も重要なことは現役プライドを見抜くことだ。間違っても「まだまだ自分はやれる」と思っているおじさんに席を譲ってはいけない。これに関してはある程度見た目で判断できる。おじいさんは次のような成長過程を持っている。

おじさん→中間期→おじいさん

30年くらいかけてゆっくりと成長していくのである。

若者でも大体、おじさんとおじいさんの区別は付くものである(まぁ先の女子高生は明らかなおじさんに譲っていたのだが)。選考ではその中間過程に当たる「おじさん」の精神性を見抜かなければいけないのだ。現役趣向か隠居趣向かを。ここを見抜ける人材でなければ面接官は務まらない。私は人の精神性を注意深く観察する習慣があったためこの度面接官に抜擢されたわけである。どんぐりの背比べないしおじぃさんの歳比べを未然に阻止するために私の面接官としての知見を共有したいと思う。これを読んだ方が可哀そうなおじぃさんと健気な女子高生を救う活動に邁進してくれれば幸いだ。

 

次項では本題に入っておじぃさんを四象限に分けて解説していきたいと思う。

 

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