上司の車に乗せて貰い営業を行う地区まで移動した。その車内にて。
「楽しくない、あのな営業は女を口説くのと同じだからな、一杯遊んだ方が良いぞ。」
「僕、全然遊べてないっすね〜」
「役職持ってる奴なんか皆女好きだからな」
「僕も女好きですよ」
「じゃあ今後が楽しみだな〜」
僕は大の女好きだ。上司の言葉を鵜呑みにすれば役職を持つ素質があるのだ。
だけれども少し考えてみると、上司の言う女好きと僕の女好きはずいぶん趣が違うことに気づく。
学祭の準備で残る放課後、クラスで出すのはたこ焼きの模擬店だ。彼は作業を休憩し、仲の良い友人とバカ話をしている。彼女は一人で黙々と段ボールを切ってその上にコピー用紙を貼り付けてタコの絵を描いている。そして彼は話の輪を抜けて、ポケットに手を突っ込みながら彼女の横にしゃがむ。そしてこう言う。
「お前それほんとにタコかよ〜、脚足んないぞ笑笑」
僕の女好きは、少し離れたところで一人で黙々と作業しながら始まる。屋台道具の設営をやっている。そして痒くもない頭を掻きながら彼女の近くにゆっくり近づく。
「ああのさー、ホットプレートってどこの電源使えばいいのかな?」
そして学祭は終わる。綺麗に葉を枯らす銀杏の木陰で男と手を繋ぎながら校門を出る彼女を眺める。
そして影の影で彼女をオナペットに自慰行為をする。そう。どうしようもない女好きなのだ。可能性が絶えても尻を追いかけるのをやめない。ベクトルは違えども僕の方が遥かに女好きだと思う。