ヒップホップと新海誠

 僕は最近ヒップホップにハマっている。ヒップホップは多義的だからひとまずノリが良い音楽にハマっていると言っておこう。何が良いって自分とは相反する気楽な思考と語り口調が腹立たしいけど羨ましい、という変な感情にさせてくれる。

最近お気に入りのハルカリのおつかれサマーの歌詞を引用してみたい。物語は真夏の紫外線が降り注ぐ陽気なビーチで始まる。そこにビキニを着たイケイケのギャルがやってくる。そして好みの男を見つけこう語る。

 

"突然視界に麗しの君 逆三ボディに 小さなspeed

素敵なspeech いきなりreach 

私は恋に落ちました peace!"

 

恋に落ちてピースしちゃう。思慮深さもカケラもないこの恋の心境に私は空いた口が塞がらなかった。ここで比較として新海誠監督の秒速5センチメートルの中で出てくる恋文を引用したい。

 

“前略、高樹君へ。お返事ありがとう、嬉しかったです。もうすっかり秋ですね。こちらは紅葉が綺麗です。今年最初のセーター……“

 

 こんな塩梅で長々とやり取りが続く。それは高尚で、思慮深いもののように感じていた。しかしこれはあくまで新海誠というオタク気質な作家が抱く女の子の理想像なのだ。僕たちは恥ずかしいことに理想像をこういうところに置く。しかしその結果どうだろうか…“もうすっかり秋”になってしまっているではないか。夏が終わり、あの娘のビキニ姿など拝む隙もなくセーターを買い始めている。キモオタ的恋愛観は現実に即していない。普通の女の子はこんなまどろっこしいことを考えない。

 

そこであの歌詞が思い出される。

“私は恋に落ちました peace!”

恋とは僕ら童貞が思うほど大それたものではなく、案外こんな風に軽く始まるのかもしれない。もちろん僕はこんなヒップホップ女とは相容れない存在だとは思っている。はっきり言ってこんな女は大嫌いだし、仲良くなれない。ただこの決して相容れることのないフワフワした思考を、ヒップホップを通して知ることが出来る。そういった意味でヒップホップは魅力的だ

 

 

にほんブログ村 大学生日記ブログ 文系大学生へ
にほんブログ村 jQuery('.icon-hamburger').on('click', function() { if(jQuery('.menu-container .menu').css('display') === 'block') { jQuery('.menu-container .menu').slideUp('1500'); }else { jQuery('.menu-container .menu').slideDown('1500'); } });