終わっちゃってる

 以前、僕の青春が潰えたのと同じように僕の1年下の後輩もそれを終えようとしている。

先日、大学時代に所属していた演劇サークルの年度内最後の公演に行ってきた。そこでは4年間を締め括ろうと、後輩たちが青春のラストスパートをかけていた。卒業してから4回も公演に行ったのだが、観た後はいつも決まって少し嫌な気分になった。ウイルスの影響で鬱屈しながら活動を続けていた僕の時代と、比較してしまうというのもあるし、そういうのがなくても僕は鬱屈していたのだろうとも思えてしまう。そこには諦観に染まり切れない僕がいる。とにかく後輩に嫉妬してしまう。色々なことを思いながらも、後輩への挨拶で「良い舞台だったよ、次も楽しみだな」と自分なりの浅はかな良い先輩になろうとする自分に反吐が出てしまう。本当は「お前ら調子のんなよ。殺すぞ。」と言いたいのだ。

 後輩は僕たちの代で潰しかけたサークルを再び、活気あるものに変えてくれた。鬱屈した僕が最も熱心に活動していた代ということで、ほんとにどうしようもなかった。思えば、高校の時もこういうことになっていた。今と違って、健やかな運動部に所属してテニスをやっていた。1年生のときは先輩にしごかれつつ、真面目に運動をした。でも自分たちが主権を持ち出すと、部室に籠もり携帯ゲーム機に没頭する日々が始まった。あれはあれで楽しかった。たまに高校近くのイトーヨーカドーのフードコートに場所を変えてモンハンをやっていた。そんな僕らを他所に後輩は、ウザい先輩のいない広々したコートでテニスの練習をしていた。結果僕たちが引退してから都大会に出場するという、弱小部にしては良い成果を残していた。

 こういう経験が続くと、思うのが僕という人間が周りをそういうふうにしてしまうのではないかという懸念だ。またはそういう人間たちの中でしか僕が生きれないのかもしれない。まあなにはともあれ、後輩みたいな活気あふれる人間たちが腹立たしくて堪らないのが今の僕の現状である。彼らが今後、社会に出て退屈な時間をすごすのが楽しみで仕方がない。青春は終わり、お疲れ様です。そしてどことなく声がする。「何言ってすんか、終わってるのは先輩だけですよ~」と。僕にとっての大学生活は、仲間と活気あふれる何かをするというものではなかった。

 

 学園祭のときにサークルでかたぬき屋の模擬店を出した。僕は暇だから、シフトでもないのに最後まで残っていた。どんどん人は少なくなっていき、4人になった。別にこのあと飲みに行くみたいなメンバーでもなかったのでその場で解散になった。人のいなくなった屋台に僕は一人で腰をかけて、目を瞑った。隣のたこ焼き屋から聞こえる、男女がわいわいと騒ぐ声、バンド系のサークルがライブで鳴らすギターの音を聞きながら不完全燃焼の心をゆっくり燃やした。そういうことの連続だった。そういう意味では僕はまだまだ同質の青春を継続出来ているのかもしれない。

にほんブログ村 大学生日記ブログ 文系大学生へ
にほんブログ村 jQuery('.icon-hamburger').on('click', function() { if(jQuery('.menu-container .menu').css('display') === 'block') { jQuery('.menu-container .menu').slideUp('1500'); }else { jQuery('.menu-container .menu').slideDown('1500'); } });