先日、私の大好きな(正確にはだった)アニメ制作会社「GAINAX」の社長が声優志望の女性に猥褻なことをしようとしたとして逮捕された。「GAINAX」といえば社会現象を巻き起こした「新世紀エヴァンゲリオン」や海外で根強い人気を誇る「フリクリ」、そして中島かずき、今石洋之のコンビで作られた最初のアニメーションとなる「天元突破グレンラガン」を製作した会社として知られている。私は小学二年生の時に朝の8時代に放送されていたグレンラガンを見て心を惹かれて以降アニメに傾倒し始めた。当時は自分で過去の作品を見る手段がなかったためVHSに録画したグレンラガンを何度も見る他なかったが、インターネットを使えるようになってからは違法視聴などをしつつアニメを楽しんだ。念の為言っておくが今は違法視聴などはあまりしていない。
「ガイナックス」社長を逮捕 声優志望女性に準強制わいせつ容疑 - 産経ニュース
このニュースが出たのが12月5日だった。その日は私の誕生日でありとんでもないプレゼントを貰ったものだとなんとも言えない気持ちになった。私が今回の件で最も強く言いたいことはGAINAXの関係者がどれだけ恥ずかしく愚かな犯罪を犯したとしても、作品とは全く関係がないということである。私は決してよくある「作品に罪はない」などという綺麗事を言いたいわけではない。事実としてエヴァやフリクリ、グレンラガン等の名作はもはやGAINAXとは縁遠い存在なのだ。私はこれらの作品が性犯罪者が作ったアニメ等と言われることを懸念している。本記事はそのような間違った認識が広まらないようにすることを目的とする。
主力スタッフはもうGAINAXにはいない?
確かにアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」はGAINAXにて製作された。しかし今のGAINAXにはエヴァンゲリオンの製作に携わったスタッフは誰一人居ない。6月に公開されるシン・エヴァンゲリオン劇場版だって庵野監督が代表を務めるカラーで製作されている。逮捕された社長は庵野監督と面識もない数年前に就任したような人間だ。だからGAINAXとエヴァンゲリオンは無関係であり結びつけることは根本的に間違っている。もっと詳しく知りたい人は是非庵野監督の寄稿を読んでみてほしい。
【庵野監督・特別寄稿】『エヴァ』の名を悪用したガイナックスと報道に強く憤る理由 | 庵野秀明監督・特別寄稿 | ダイヤモンド・オンライン
ではGAINAXのエヴァンゲリオン以外の作品はどうだろうか?有名な作品では先述の通りTVアニメシリーズの天元突破グレンラガン、OVAとして製作されたフリクリがある。これらの作品もまたGAINAXとは縁遠い作品となっている。庵野氏の寄稿によると新世紀エヴァンゲリオンのヒット後に関連商品などでGAINAXにお金が入るようになり、少しずつ会社の歯車が狂っていったという。一番苦労したスタッフに還元されることもなくそのお金は浪費されていった。そして2011年8月に天元突破グレンラガンの監督やエヴァンゲリオン、フリクリで作画を担当した今石洋之と同じくエヴァンゲリオンで演出を担当した大塚雅彦がGAINAXを退社し、それを皮切りに製作の主軸となっていたスタッフが次々に退社していった。今石洋之と大塚雅彦が退社後に設立した会社がtrigger である。元GAINAXの主軸スタッフもこのtriggerに移った。当然といえば当然だがフリクリやグレンラガンに見られるような破茶滅茶でお洒落な演出がtriggerのアニメには多く見られ、私が小学二年生のときに初めてグレンラガンを見たときのような感動が新しい作品でも体験できる。
カラー作品、trigger作品を見ろ
ここまで見てくれた人は分かると思うが、GAINAXとはもはや形骸化したアニメ製作会社でありかつてのように私達を熱狂させるものは何もない。その熱狂の要素はカラーとtriggerが引き継いでいる。私が何を言いたいかというとカラー作品、trigger作品を見ろということなのである。カラーからは先述の通り今年の6月からシン・エヴァンゲリオンの公開がされる。新しい作画でエヴァンゲリオンが楽しめるのは本当に喜ばしいことである。
triggerからは昨年公開された映画プロメアのDVD、blu-rayがまもなく発売される。私は映画館でこの作品を見たがグレンラガンやキルラキルを知っている者なら思わずニヤリとしてしまうようなネタが積み込まれている。今予約すればクリアファイル、今石洋之描き下ろしイラストなどの特典も付いてくる。是非購入してみるのが良いだろう。GAINAX死んでいるがGAINAX 作品に見られたスタッフの熱量と私達に与える感動は健在だ。