おねしょた

 自分が人より劣っていることに気付いたのは保育園に通っているときのことであった。卒園が間近に迫ったまだ寒い春の日、卒園制作として牛乳パックを使ったペンたてを作ることになった。牛乳パックの下半分を切り取って、カラフルな毛糸を編んでそれを覆うケースを作る。そんな制作であった。先生から好きな三色の毛色を選んで良いと言われた。私は当時大好きだった戦隊モノの主軸カラーであるレッド、ブルー、イエローを選んだ。そして先生から編み方を伝授される。がしかし、当時6歳の私はそれを全く理解することが出来なかった。記憶が定かではないのだがその作業は何日かに分けて行われたのだと思う。その最終日の机の上に独自の編み物が形成されていたことには心底驚いた。器用な子は制作を早々に終えて、おもちゃ遊びを始める。その場に残っているのは私と数人だけ。それを見た先生は私の手を後ろから優しく掴み、手を動かして編み方をレクチャーし出した。それはとても屈辱的な瞬間だった。私の意思とは関係なく動く手。それに逆らおうとしても無理矢理矯正される感覚は今でも忘れない。結局私は何も編み方を理解することなく、1から10まで先生の手の動きによってペンたては完成した。

 今思えば、この日から自称万物の最底辺として生きる生活が始まったのだと感じる。今思えば、若い女性の保育士に後ろから手解きされたことにもっと興奮するべきだったとも感じる。前者を悔いるか後者を楽しむかが人生の分かれ道であったのだ。ちなみに私はそのころには女性に対するスケべ感情の芽が生え始めていた。今では立派なスケベ大木に育った。これからは万物をスケベに還元して生きていこうと思う。

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