妹が僕に似てきて嬉しい限り

 先日、高校二年生の妹が僕にこんな愚痴を零した。「同級生が皆おじいちゃん先生に対して可愛いって言うんだけど私は馬鹿にしているようにしか見えなくて腹がたつんだよね。」

 我が妹が斜めに構えていたのである。僕は随分と長い間妹に斜め構え話を披露してしてきた。

「中学の同級生と大学に入ってからも相変わらず仲良くしている奴は馬鹿だ。」

「スポーツが得意な奴には知的な面白さがない。」

「ストーリーを頻繁に更新する奴は可哀想だ。」

「精神的向上心のない奴は馬鹿だ。」

などなど妹に良からぬ知識を教えて続けてきた。そうして先日、遂に妹が月並みな同級生を馬鹿にし出したのである。年老いた先生に対して「可愛い」などと言う馬鹿女子高生を馬鹿にしていた。これは私も高校時代考えていたことである。大体たかだか17の齢のかわいさしか取り柄のない女如きか定年間近の人生経験豊富な人を「可愛い。」などと言う言葉で評価を下すのはかなりイカれている。そして「可愛い。」と言われる先生は大概少しシャイな人だったりする。きっと思春期の時には今の僕と同じように他人との距離感なんかに悩みながら先生なりの結論を出してその年まで生きてきたのだと思う。それを「可愛い。」などという言葉で嘲笑するのは、あまりにも酷い話だ。先生も心の中では「お前らの方が可愛いわ、犯すぞ。」なんてことを思っているに違いない。もしかしたら性機能は衰えているかもしれないが、何にしろ傷つくだろう。

 なにはともあれ、わが妹がそういった先生を馬鹿にして楽しむ連中を馬鹿にできるようになったのは喜ばしいことである。そういうことを覚えてしまった君は今後モテないかもしれない。しかしそこは堂々と斜めに構えて「栄光ある孤立なり。」などとほざいてみて欲しい。しかし、かつて栄光ある孤立をしていたイギリスがロクな目に合っていないことからも分かる通り、恐らくそれはあんまり褒められたことではない。本当にごめんよ。

 

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