「へい、そこの彼女お茶でもしないかい。」
これはかなり臭い、ナンパのセリフである。
実際にこれでナンパが成功するかどうかは置いておいて、なぜお茶に誘うのかについて考えたい。
ナンパ師は純粋にお茶(コーヒーなり紅茶なり)を飲みたいのか。そこまで喉が乾いているのか。もちろん答えはNOである。
このシチュエーションはナンパなので二人は街で歩いている見知らぬ男女の関係性だ。そんな男女が急に喫茶店に行くのはかなり違和感があるので、目的はお茶を飲む事自体にないことは容易に分かる。
真の目的は喫茶店に行って、対話をして、見知らぬ男女の関係を抜け出すことにある。そのこと自体をしたいから誘うのではなく、関係性を築くために誘うのだ。
私達の日常にはこういった目的があやふやなナンパ師のような誘いが頻発している。例えば飲み会は常に目的が不透明である。
「へい、そこの後輩お酒でもしないか。」
これも別に旨いお酒を堪能したい訳ではない。後輩と話をして、関係性を変えたいのだ。
カップル間の誘いも常にあやふやが付き纏う。
「映画でもいかない?」
これもひたすらこの作品が気になって仕方ないわけではなくて、一緒に行って関係性を深めたいだけだ。映画「でも」なん「でも」いい。
見るものは夜景でもいいし、星でもいいし、イルミネーションでもいい。そこが逢瀬に適しているなら。
(書いてて思ったがカップルは暗いところが好きなのか?)
なんなら見なくても良い。お互いにぎくしゃくしないのならば「将棋でも指さない?」とかでも良い。
なんで私達は素直になれないのだろう
ここまで考えてきて、私達は目的を素直に話せないことが分かった。人類皆ツンデレである。
今までのツンデレ軍団の会話の目的を顕にしてみよう。
ナンパ師「へい、そこの彼女俺と喫茶店で話して赤の他人から友達はたまた恋人はたまたセフレにならない?」
先輩「一緒にお酒を飲みながら話して、腹を割って話せるような関係にならない?」
彼氏「どこでもいいんだけど会って、より仲良くなりたい。」
なんとなく野暮だ。なんとなく恥ずかしい感じがする。
だけどナンパ師は置いといてときにはこうやって目的を正直に喋ることも悪くない。
先輩はただ飲みに付き合って欲しいわけではなくて歩み寄ろうとしてることが分かるし、彼氏は恋人と友人を線引しているように思われる。