【感想】ゼノブレイド2のお色気要素がキツかった

RPGは没入出来ない 

 ゼノブレイド2は私が小学生ぶりにプレイしたRPGであった。私がRPGをやらなかった理由としては、物語を見たいのにゲームをプレイしなければいけないという苦痛がある。最後にプレイしたRPGポケモンを除けばDS版のドラクエ4である。RPGの根幹でもある、主人公になり切る没入感を私はあまり感じられないのだ。それ故わざわざゲームをプレイする必要が分からなくなり、RPGはあまり好きじゃない。ゼノブレイド2に関してもそれはあまり変わらない。戦闘システムは面白かった。属性玉を付与して、チェインアタックで大ダメージを与えるのは爽快感があった。そしてキャラクターの組み合わせなどの戦略性もあり、考えるのが楽しかった。しかし戦略がハマった後は高すぎる敵のHPをただただ削る作業が始まり退屈であった。ゲームシステム面では爽快ではあるが退屈といった評価になるだろう。

 

異性愛を強調したストーリー

 ではストーリーはどうだろうか。ゼノブレイド2では昨今の美少女アニメ作品、ギャルゲーから踏襲したと思われるお色気要素を相当量含んでいる。それは女性キャラの衣服にも現れており、正ヒロインと言えるホムラの衣装は全体的に肌の露出が多く、巨乳、太腿を強調したホットパンツなど男が欲情しやすい要素をふんだんに備えている。

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またこのホムラの性格もおっとりしたやさしい感じで主人公に献身的で典型的な女性像が映し出されている。しかもホムラは固有のスキルとして料理が出来る。「料理が出来るいい女」というのが彼女に与えられた役割である。正にロールプレイさせられているのである。私はフェミニストでもなんでもないがここまで露骨だと、少し嫌悪感を覚えてしまう。どんなに感動的なシーンであろうともこの男性の願望を一身に受けたようなキャラクターの存在があり、没入感から覚めてしまう。本ストーリーはホムラの願いである「世界樹にある楽園に行く」ことが目的であり、ヒロインの願いを必死で叶えようとする主人公という構図がある。主人公自身も「ヒロインを守る」といったことを豪語しており、異性愛的願望を元に進む本編は少し古めかしさを感じる。

  本作品の露骨な異性愛的な描写はホムラ以外にも現れている。物語中盤でヒロインのもう一つの姿としてヒカリが登場する。

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ホムラとヒカリ

これまた露出の激しい衣装である。ヒカリが登場してからいわゆるハーレム展開が始まる。男に献身的な正妻ホムラとツンデレ系の側妻ヒカリ、そこからいつのまにか物語冒頭から行動を続ける何でも言い合える幼馴染系のポジションのニアまで参加してきて、美少女アニメに慣れ親しんだ者にとっては見慣れた光景が広がる。プレイヤーはこの美少女たちに恋をしながら世界を救う。美少女を救うために世界を救うのだ。この露骨過ぎるヒロインの乱立に私は胸焼けしてしまった。

 そしてストーリー終盤でホムラかヒカリを選択することになる。これは別に恋の相手を決めるわけではない。ストーリー中に彼女らはヒカリとホムラでもない第3の姿になる。その姿をどっちの名前で呼ぶかといった話だ。しかしどちらを選択したかによってラストの映像が変わる。だから実質的に正妻を決めることになる。

 

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正妻選択画面

この選択によって第3の姿のときはどちらかの名前でしか呼ばなくなる。私はホムラを選択したので、ラストのヒロインが絶体絶命になるところで主人公は「ホムラぁぁ!」と叫んでいた。ヒカリの存在を忘れてしまったかのような叫び声に思わず笑ってしまった。しかし案外我々の素直な欲求を表しているような気がして関心もした。ああいう危機的な状況になったらつい好きな人の名前を呼んでしまうのである。正妻の選択があることからも分かるように明らかにギャルゲーのような展開を意識している。

 

エロの素材としての優秀さ

 ゼノブレイド2はこの性的な要素の多さから、二次創作のシミュラークルとしては大変に優れている。

ec.toranoana.jp

ec.toranoana.jp

 

とらのあなの通販サイトでは多くのゼノブレイド2同人誌作品を見ることができる。ゼノブレイド2本編の中では露骨な恋愛描写はされない。もちろん主人公の異性に向ける感情は見えることはよくあるが、明示されない。だからストーリーの裏にある情事を妄想して二次創作を作りやすいのだ。また性的な描写が容易に想像ができる。これは異性愛を強調した故の成果であろう。ちなみにリンクを貼った2作品はめちゃくちゃ良い。何にとは言わないが実用的だ。

 

ゼノブレイド2の面白い点

 一方ゼノブレイド2は異性愛を強調し過ぎたストーリー展開以外では称賛すべきところが多い。冒険の中で訪れるアルスはどこも個性的であり綺麗な自然、街並みを堪能出来る。

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アルスの街並み

 牧歌的な風景が見られる中、世界では領土を巡る戦争が行われており緊迫感もある。その戦争を見て、それぞれの背景から人間に絶望する敵キャラ達。人同士の争いをどのように観るかというのがこの物語の主題である。自然豊かなアルスを冒険する中で、物語後半に訪れるモルスの地では雰囲気が一変し、現代的な建物がある荒廃した街が突如現れる。物語の序盤に見させられる「世界樹の楽園」の緑が広がる光景がプレイヤーをミスリードして、それとは真逆のサイバーパンク的な世界に招き入れられるのはゲーム体験としてかなり刺激的であった。

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荒廃した現代風の街

 

 オタク受けが良いと考えられるエロティックな絵柄と、露骨なハーレム展開が目立つ本作だがその裏では相当尖った物語が展開されている。だから本作品を短絡的なハーレムモノとして認識するのは正しいことではない。お色気要素はあくまでもマーケティングのためのものであり、私のような頭がピンクなオタクを釣る機能がある。実際私もホムラの太腿がエロかったのが購入動機の1つとなっている。異性愛的欲求が世界樹にある楽園に向かわせる本作、動機こそつまらないが行き着く先は相当面白い。

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