本日2カ月以上営業を止めていた、アルバイト先の飲食店に行った。10月から営業を再開するにあたって掃除をするためだ。いざ行ってみると私以外のアルバイトが誰もいないことに気づく。そして店長に会う。店長は少しやさぐれた感じに見えた。久しぶりに会う店長との会話は少し緊張した。
「お久しぶりです。」
「楽しくない君、これバイトの保証ね。」
何もしていない2カ月分のバイト代が入った封筒を貰った。
「あれ楽しくない君には言ったっけ?あー言ってないよな。」
店長は急に辿々しくなる。
「うちの女房…亡くなっちゃってね。」
店を休止していたのは奥さんが病気をしたためであった。そしてことの顛末を冷静に教えてくれたのだ。
「あ、そうだったんですか…」
「色々迷惑かけたけどこれからもよろしく頼むね。」
「いえいえ、とんでもないです。よろしくお願いします。」
私は人の死を弔う言葉を何一つ持っていなかったのだ。気を遣う言葉が何一つ出てこなかった。
この2ヶ月人生で一二を争う苦痛を味わっただろう店長を想像すると本当に心苦しかった。そして同時に思った。
「俺にゃ荷が重いよ〜」
何か気の利く言葉が出てくるわけではないし、若者特有の明るいパワーも持ち合わせていない。休止後初めて会うのは別の人であるべきだった。場を温かみのある感じに出来る存在。そういう人がお似合いだ。でも誰も来ないよりはましだったのかもしれない。まぁそう思わないとやってられない。ポーカーフェイスだが情は人一倍あるのだから。