サウナ後の食事をサ飯というならば、風俗後の食事はフ飯となる。サ飯もフ飯もクタクタになりながらも身体的な快楽を感じた後に食べる食事という点で一致している。サウナ後に食うガッツリした町中華は格別に美味い。チャーハン付属の普段は少し薄く思えるスープ。それですら塩味が尊くて、レンゲの往復が止まらなくなる。スープで塩分を慣らしたあとにチャーハンをかきこむおいしさは想像に容易いだろう。失われた塩分を補給したいがためにいつも味が濃いものばかり食べてしまう。
サ飯に求められるものが塩分ならばフ飯はなんだろうか。その問いに僕は長年答えを出せずにいた。しかしこの前友人とフ飯に行ったときに分かったのである。
プロフィール年齢37歳、Iカップの風俗嬢にプレイ時間中、エンドレスに手コキを繰り返され整う。好奇心で指名してみたのだが人生経験とエロは比例していたようでとてつもなかった。友人と合流した後に互いの感想を語り合う。37歳という前情報があるからか、友人は全く僕の体験を羨ましがらない。何がともあれ、飯に行こうという話になった。友人とはサ飯も共にする仲なのでいつものノリで町中華を探しに風俗街を抜け出す。歩いていると通りにびっくりドンキーが見えた。何故かそれに惹かれて。「びっくりドンキーいこ」と提案した。
思えばびっくりドンキーは幼い頃祖父母によく連れられてきた場所だった。西部劇で出て来るような扉を模したメニュー表、ワンプレートとハンバーグディッシュとその上に乗った×印のチーズ。びっくりドンキーはとにかく童心を揺すぶる。もしかしたらあの頃に戻りたいという一心でびっくりドンキーに惹かれたのかもしれない。僕らが風俗によって欠乏したのは童心だった。あの頃、いつも頼んでいたチーズハンバーグディッシュと特盛のいちごミルクを注文した。これがまた心に染みた。祖父母に払ってもらっていた1650円というお金に自腹を切りなんだか苦い気持ちがした。
びっくりドンキーを出て、やんちゃな看板を振り返ったとき、「次は赤ちゃんプレイをお願いしよう」と心に決めたのだ。
