先日バイト先のステーキ屋に3、4歳の男の子がお母さんとお父さんに連れられて来店した。小さくて、目がクリンクリンしている。私はその男の子に釘付けだった。そして注文の品が完成し熱々の鉄板に乗ったステーキをテーブルへ運ぶ。男の子は目をキラキラさせて手を大げさに叩きながら分かりやすく興奮している。そこでお母さん「ありがとうございますは?」と男の子に促す。
「あ・・ り が と う ご ざ い ・・ ま す」
その不慣れな言い方に私はやられてしまった。このとき私は心から「あぁ...かわいい!尊い!(語彙力)」と感じた。そんな感動を胸にしまって厨房近くまで戻る。
すると女性の先輩が「あの子めっちゃかわいくない?」と私に話しかけてくる。そりゃそうだ。かわいいに決まっている。私もさっき悶絶してきたばかりだ。そこで私はすかさず...
「あぁ...まぁ確かにかわいいっすね。」
スカしたのである。まるで今気付いたかのように。さっきまでの心の悶絶はどこへやら。というのも理由があって、普段捻くれたことばかり言っているため男の子に釘付けだったことを知られるのはなんだか恥ずかしかったのだ。先輩は絶対男の子を見てウットリしている私の顔を見ていた。それなのに何故か目の前の男は目を細めて格好をつけている。その先輩の困惑顔を思い出すだけで今も胸が痛む。次そういう場面が来たら「かっわいいー」と間髪入れずに言ってやるつもりだ。まぁそれもキモいか?