地元ノリ

 急に中学のときの不良系の同級生からLINEの着信が来た。ダルかったので、僕はそれを無視していた。僕らも25歳の立派な大人なのだから、そういうノリやめてくれと心底うんざりした。大学在学中にもこういうことがあった。「あいつ、懐かしくね」みたいな軽口から電話をかけていると考えられる。一回無視を決め込んだのにまたやってきたからイライラした。

 そんな風に怯えながら無視をしていると、辛うじて交友のある中学の同級生から電話がかかってきた。

「楽しくないさ、不良からのLINE見てないの?大事な連絡があるんだってよ」

いやいやいや。営業職に就いている俺を舐めるな。大事な知らせと大口叩いて話を聞いてもらうなんて初歩のテクニックだ。そんなものに引っかかると思ったら大間違いである。そうしてそれでも無視を続けていると、LINEの文面でこう来た「山口先生が交通事故で亡くなって、お通夜の案内したいんだけど電話出来る?」

中学1年生のとき、不良と同じクラスだったときの担任の訃報を告げられた。仕方なしに電話をした。「忙しいところごめんね。俺もびっくりしたんだけどさ〜」と、一丁前にこっちの忙しさを労い、手短にもしお通夜に来れそうだったら来て欲しいという旨を伝えられた。

いや大人過ぎる。それでもって同級生になんとか伝えなきゃという使命感で連絡を取り続けていたところも熱意に溢れていて、頭が上がらなくなった。一方でなんて僕はしょうもないことに囚われているのだと情けなくなった。「営業職に就いてるんだぞ」じゃないんだよ。

 

でも仕事で忙しいので、わざわざ中学卒業以来関わりもない先生のお通夜に行くつもりはない。当時30歳の山口先生は不良に良くない絡まれ方をしている僕を心配して、嫌だったら言わないとダメだよと優しく諭してくれた。おっぱいが大きかった。でもってタイトな黄緑色のニットを着ていた。そんなんだから放課後の教室で諭されながら勃起していたことを思い出した。あの黄緑色の膨らみが訃報を聞いた日の夜に夢の中に出てきたくらいだ。そんなことが一番の思い出である。先生のワースト生徒の一人だと思うので生徒総出の献花にお金を出すだけに留める。地元の人間にも会いたくないしね。

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